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農家さんの苦悩と今後について…

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農家さんの苦悩と今後について…
「美瑛町の農業と観光の両立に向けた意見交換会」が昨日開かれました。


「夕暮れ時、宿の周りを散歩して撮影」 北海道美瑛町

僕は今回初めて出席しました。
昨年も同じ頃同じ様な会があった様です。
僕は昨年の事は何も知らず参加しました。
しかも写真家で参加したのは僕だけで、
いきなり最初に発言する羽目になりました。
昨年どういう話し合いが行われたのかも知らず、
おまけに農家さんの意見も聞かないうちから僕の発言です。
正直言いまして困りました。
(^_^;)
そこで率直に僕の意見を言わせて頂く事にしました。
簡単に書きますと、
「美瑛町にある有名な農家さんの木は、
例えて言うなら、一億円もする彫刻と同じ価値があると思います。
それほどこの街にとって大切なものです。
まずその事をきちんと認識しなければいけない。
そして、それほど大切な木や丘を維持している農家さんの心労は、
あまりに酷い観光客のマナー違反の行為により限界に来ています。
マナーに関する啓蒙や啓発は今後も続けなければいけませんが、
まず至急考えなければいけないのは、
美術館に必ずいる様な「監視員」を配置する事だと思います。
そのための予算は当然必要です。
例え24時間は無理でも、少しでも農家さんの実害が減る様に出来る範囲から始めるべきでしょう。」
・・・・・
この考えには多数の賛成を得ました。
ただし予算が必要であり、
行政側の答えは「今後よく検討させて頂きます」という事でした。
もちろん条例等のルール作りや、
空港、旅行会社、レンタカー、バス会社等へのマナーの周知など、
やるべき事はどんどんしていかなければいけないでしょう。

また今回参加された農家さんのご意見を聞きまして、
僕の個人的な感想として、
すでに諦めムードと言いますか、
「人間不信」にまで成られている様にも見えました。
ようするに、昨年も同じ様な会を開きながら、
1年経って何か変わったのか?
殆ど何も変わってないじゃないか!
我々農家はずっと我慢してきている。
しかしもはや我慢にも限界がある。
・・・僕にはそう感じました。

僕がこの街に来る以前の事は分かりません。
しかし今言える事は、素早い決断と行動が求められていると思います。
例え少々予算がかかっても、
この問題はこの街にとって「農業と観光の両立」という大切な問題ですから、
有効と思える対策は、一日も早く決断して、素早く実行する必要があるでしょう。
・・・・・
この事に関係して、ある一件について書きます。
詳しい事は来週分かるでしょうが、
「青い池のライトアップ」はどうやら大成功と言えそうです。
観客数は15,000人近く来たようです。
その事自体は嬉しいです。
しかし僕が注意しただけでも7回、
池に降りようとした者がいました。
今だから書けますが、
実際に池に降りた者も結構いて、
足跡は何度も見ました。
その都度僕は胃薬を飲んでいました。
何か事故があったら池は閉鎖されるからです。
この思いは2月28日最終日まで続きました…。


「池の足跡1」 大井孝文氏撮影


「池の足跡2」 Nao Akimoto氏撮影

知人や友人が僕に知らせようとこうやって写真を送ってくれるのですが、
そのつど僕は憂鬱な気分になり薬を飲んでいました。
この池にも「監視員」は全くいないので、
マナー違反を平気でする者にとっては天国だったのです。
また僕が見つけて7回注意した中には外国人もいました。
ただその状況では彼らに知識や情報が無い場合が殆どなので、
理由を説明して注意さえすれば理解してくれました。
しかし、2回は怒鳴りました。
いずれも相手は僕より年上の日本人。
しかも高級なカメラと三脚を持ったアマチュア写真家。
いわゆるカメ爺です。
(カメ爺・カメ婆=マナーのとても悪い高級カメラを持った高齢者の呼称)

「危険ですから池に降りないで下さい!」
その彼に対してそう丁寧な言葉を使い注意しましたが、
「自分の事は自分で責任持つから心配するな!」
そう言う返事。
今度は厳しく言いました。
「あなたが池に落ちて怪我しようが死のうがもちろんあなたの責任だ、僕には関係ない。
しかしもしここで事故があれば、この池は直ぐに閉鎖される。ここは国の管理下にある。
あなたの行為は多くの人の迷惑になるんですよ。」
そう話すと無視して池に降りはじめました。
僕はわざとフラッシュをたいて後ろから撮影しました。
するとこのカメ爺はこちらを向いたので、
すかさずもう一枚撮りました。
「てめえ誰が撮っていいと言った…」
イスラム国のテロリスト見たいに眼だし帽を被ったままそう言いました。
「言葉が伝わらない者には実力行使する」
そう言うと、
「お前何様よ、誰だお前えらそうに…。」
逆ギレしてこのカメ爺は大声でそう言いました。
「ケント白石だ!」
そう答えると、
「お前さんがケントか!」
そう話した時に、ちょうど9時になり照明が消えました。

「あんた何でそんなに池に降りたいんだ。
さっきから見てたら、立入禁止区域で撮影していただろ。
ここには僕とあんたしかいないんだぞ、撮影エリアは全部自由に使えるんだぞ。
それでも何か不満があるのか?」
するとこのカメ爺は、
「俺は人と違った写真が撮りたかったんだよ、あんたが撮ってる様な写真撮りたかっただけだ。」
ようやく本音が聞けました。
「おっさん、言っとくけどね、僕は皆さんと同じ場所で撮影してるんだよ。
立入禁止区域で撮っても良い写真にはならないんだ。それに発表も出来ない。
今の時代は、どこで撮ったかすぐ分かるんだ。
それこそ池に降りて撮ったら、すぐにバレるぞ!」
そう言うと暫く黙っていましたが、
池に降りるのを辞めて戻って来ました。

「ずいぶん冬の写真撮り慣れてる恰好してるけど、北海道の人間なんだろ?
どっかの写真倶楽部にでも所属してるのかい?」
僕がそう尋ねると、
「月例会に出す作品撮ろうと思ってよ、ちょっと来たんだ…。」
こういうカメ爺はすでに脳みそが腐っています。
「おっさん良く考えてみなよ、あんたが池の上を歩けば汚い足跡がつく。
今夜は星空だから、明日雪が降らなければあんたの足跡で多くの観光客が迷惑する。
そしてもし万が一、あんたが池に落ちたなら、このイベントは即刻中止される。
そういう傍若無人な社会性の無い心では良い写真は撮れんよ。」
そう説教しましたら、
「俺はあんたの様なセンスがないから、他人と違う場所から撮る必要があるんだ、分かって下さい。」
最後はそんな事言ってました。
「おっさん、センスないなら、他人と違う場所でとっても下手は下手だ、センスないんだから。
それでも写真撮るなら、せめて他人に嫌われる様な事はしなさんな!」
これ以上馬鹿を相手にしてもしょうがないので帰って来ました。
ただし駐車場でこの男の車のナンバーはしっかりメモしました。
旭川ナンバーでした。
・・・・・
たかが「青い池のライトアップ」でさえ、
こんなに神経が疲れる事が起きるんです。
誰も怒鳴りたくて、注意したくてしている訳じゃありません。
まして春から秋まで毎日の様にそれをしてきた農家さんはどれほど大変か?
想像つきますでしょ?
しかも農家の皆さんにとって畑は仕事場ですから。

せめてこんな馬鹿どもに注意する事で、
神経をすり減らしたり、日常的に嫌な思いをしなくて済む様に、
きちんと制服を着せた「監視員」のような者が必要だと思います。
もちろん他にも出来る事は急いで実行すべきでしょう。

巷では、今回のライトアップの成功により、
早くも来冬のライトアップの話が出ています。
例えば今度は「雪の丘」を照明したらどうだろう?とか。
しかしその前に、冬の農地や木をライトアップする前に、
これまで農家さんにご迷惑をかけ、我慢を強いてきた事実をきちんと受け止め、
その対策を考える事が先でしょう。
それなくして、畑や木のライトアップなと考えるのは早計だと僕は思っています。
また無理にそんな事をするなら、農家さんとの軋轢をさらに生む事になるでしょう。

今回僕が「青い池のライトアップ」に賛成した理由の一つには、
これまでの丘を中心にした畑や木の観光から、
「白金温泉の周りにある自然を観光地にする」ことで、
これ以上農家さんに迷惑をかけないで済むという事もありました。

行政や商売をされている方達が観光客を増やしたいのはよく分かります。
もちろん基本的には僕も賛成ですし協力もします。
しかしそれは農家さんにも納得して頂けるよう、
「オール美瑛」で考えていく事です。
まず観光あり、農家さんは後回し。
もはやこれは通用しません。
もうそんな時代ではないと思います。
・・・・・
また僕達写真家も本当に考えなければいけません。
毎月発売される写真誌も、ネットも、
あるいはそこに文章を書くプロ写真家達も、
「撮影マナー」について、
どれほど関心を持っていますか?
何か書いていますか?
また僕達現場の撮影者も、普段から何かそのための活動をしていますか?
金も払わずに、無料で畑を撮影させて頂きながら、
農家さんの気持ちや苦悩を考えた事がありますか?

まず少なくとも、
このブログを読んでいる皆さんはどうか心に留めておいて下さい。
美瑛町に来た際に、皆さんが見る美しい畑や丘の風景は、
農家さんが日々畑仕事をされて出来たのです。
何もしないで出来た「自然の風景」ではありません。
そう考えたら、畑に入ったり、ゴミを捨てたり出来ないはずです。
よく考えて下さい。

・・・そして、
言葉の通じない馬鹿どもには、
厳しく対処するべきだと、
少なくとも僕はそう考えています。
また出来れば拡散して頂いて、色々な方の意見を聞いてみたいですね。
どうか皆様のご協力を宜しくお願い申し上げます。

ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
★ケント白石 写真家のCafe「てふてふ」
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
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